押しつぶされそうな時や出口が見えない時の「力学」

以前、福井の治療家の先生のもとで勉強させて頂いていた頃

「身体も心も、力学的な視点を持って見てみ。」

と言われ、そこに訪ねてくる方と様々な話をしなが
動き流れ方向のベクトルなどを観察する視点
を叩き込まれたことがありました。

その見方には今でも非常に助けられていて、

ヨガで生徒さんから

「こうすると違和感があるんです・・・。」
「なんか最近、この姿勢がつらいんですよね・・。」
「このポーズがやりづらくって・・・。」

といった声があった時、

必要以上に頑張りすぎて強い負担がかかり、流れが
止められていそうな箇所や、動かしづらそうな方向
や位置関係など、

動き”や“方向”を手掛かりに

緊張が走っているところは緩め、伸び切ってしまっ
ているところは使う、縮こまっている時には伸ばす

その場所が“求めている向き”に、スムーズな流れを
つくる動きを加えると、身体が瞬時に変わることを
目の当たりにしてきました。

(もちろん鍛える動きが必要な場合など、回数を重
ねて変化が訪れるパターンもあります。)

その見方は、心の動きでも同様に、

何かがしんどい時、どこかで気持ちや感情の流れが
滞っていたり、ある一方向からの圧力が強く、負荷
に対するバランスが崩れているなど、

力の向きや流れ、その動きや力の関係に焦点を当て
てみると、その内容や私情を抜きに、解決の糸口が
見えてくることがあります。

例えば、「押しつぶされそうな気持ち」や「プレッ
シャー
」「気が重い」「気が沈む」・・・

言葉のニュアンスからも、いかにも ↓↓ といった

自分の“外側”から自分に向かって圧力がかかって
いる向きや流れがイメージできます。

そしてそんな状況の時に限って、外との関わりが億
劫になってしまったり、弱音を言っちゃいけないと
余計に気持ちを抑圧したり、内側でぐるぐると同じ
ことを考えてしまって、なかなか力の逃げ道を確保
できずに
居てしまったりするんですよね。。

(↑内側でぐるぐる混迷している時も、力はずっと
受けっぱなしなのでエネルギーは消耗。。。
麻痺して次第に無気力になっていくことも…)

私自身、外の刺激を拾いやすく、受け流すのが今で
もあまり得意ではないので、意識していないとすぐ
にこの力のループにハマってしまいます。。

ですがこういった矢印のベクトルで考えることで、
この様な時は“内から外に向かう方向”の力や流れ
だと気付き、酷くなる前に対処できるようになってきました。

この新型コロナウイルスの影響下でも、

「我慢が強いられている」「自粛をさせられてい
る」「どうなっちゃうんだろう・・・」「なんでちゃ
んと○○して欲しいのに、してくれないの!」
といった“受け身”モードの状態でいると、

個人ではどうしようもない、外の大きな力の影響を
もろに受けて疲弊してしまいますが、

“自分が今、できる事をやる”
“目の前の必要なことに、集中する”

といった矢印を発する力の向きをほんの少し意識す
るだけでも、しっかり抜け道ができて、気持ちが軽
く、楽になることがあります。

その他のケースでも、何かに翻弄されたり、制限さ
れたり、振り回されたり…

「されている」と感じて苦しい時には、外側の力が
大きい状態なので、“内側から”意志を持ってエネ
ルギーを注げるものや、能動的な行動を増やすと心
のバランスがとりやすくなります。

alternative

意志や能動的な行動と書くと、大げさな印象になっ
てしまうかもしれませんが、それは別に大それたこ
とを指している訳でもありません。

例えば、お気に入りのルートを歩いたり、誰に強制
されたものでもない、読みたいと思う本を選んで読
むことや本当に着たい服を着ること、なんだか気に
なる・・興味があるものを覗いて学んでみたり、好き
なものを食べる、言いたかったことを伝えてみる、
など..

普段の日常の中に、自らの意志で“こうしたいから
する”と、受け身の形ではなく進んで行動する機会
はたくさんあります。

様々な巡り合わせや兼ね合いで、全部思い通りにと
いう訳にはいかず、まわりと調和するための心遣い
も大切なことですが、全ての場面で本心を押し殺し
続けているとパンクしてしまうので、、

息抜きできる所で気持ちを発散し、意識的に抜け道
をつくることはそれ以上に大切です。

また、同じ考えや出来事にぐるぐる囚われてしまっている時

われという字も、こうして見ると中に閉じ込め
られている「」が可哀そうに思えてきますね…

“共感”

を入口(出口?)に、囲いの外側にいる人の考えに
意識が向いて、感情が流れていくことがあります。

人と話す」ことは、一人で行き詰っていると気付
けない相手の一言や視点をきっかけに、事態が好転
する沢山の可能性を秘めていますが、

話したことに対して“ALL全否定”が返ってきては
スッキリどころか更に心を閉ざしたくもなりますよね。。

逆に全て「分かるー!」と返ってくるのも嘘くさい
ですが(なんか違和感が..と思ったら、実は石や
薬物、セミナーの勧誘目的だった、なんてことも
私はあったので気を付けてください…笑)

様々な異なる考え方を持つ人と話をして、良い刺激
がもらえたり、スッキリしたり、元気が出た時には、
必ず“共感し合えた”ポイントがあったのではないでしょうか。

私が良く話をする友人や知人も、それぞれバラバラ
の価値観を持っていて、ヨガに対して否定的だった
りもしますが(笑)、心地の良い共通項がある中で
色んな意見を聞けるのでいつも救われています。

また、人と話すこと以外にも、映画音楽など
作品で共感できる気持ちや考え方に出会えると、

次第に作者や登場人物のその先の異なる思考に意識
が移り、ループから抜け出せることもあります。

ぐるぐると負のループに囚われている時は、つい
その感情や思考、また囚われている状態を“否定”
“抑圧”し続けてしまいがちですが、そうするこ
とで、更に外に解放しにくい状況に…

対して“共感”は、相手の感情や思考を「分かる」
“認める”ことで、同時に自分の内側にも同じ思
いがあることを自然と“肯定”できるので、

共感するだけでずっと抑圧していた感情が外に出て
モヤモヤが解消してしまうこともあるんです。

そういった意味で、ネガティブな思いに囚われてし
まった時には、書評家の方が「笑っちゃうほどネガ
ティブ」と称した(笑)『絶望名人カフカの人生論』
を読むと、鬱々とした感情がユーモアと混ざり、
綺麗に外に流れ出てくれます◎


絶望名人カフカの人生論 (新潮文庫)

「いちばんうまくできるのは、倒れたままでいることです」

誰よりも落ち込み、誰よりも弱音をはき、誰よりも前に進もうとしなかった、ネガティブを代表する作家カフカの絶望の名言集。

絶望名人カフカの人生論

より気軽に読めるマンガ版もあります◎

マンガで読む絶望名人カフカの人生論

編訳者である頭木 弘樹さんの他の著書
『希望名人ゲーテと絶望名人カフカの対話』




希望名人ゲーテと絶望名人カフカの対話

そこに書いている考え方が、とても素敵だなと思っ
たので引用してご紹介します。

どこまでも前向きなゲーテの言葉と、どこまでも後ろ向きなカフカの言葉。
今のあなたには、どちらのほうが心に響くでしょう?

「絶望するよりは、希望を持つほうがいい」――ゲーテ
×
「ああ、希望はたっぷりあります。
―ただ、ぼくらのためには、ないんです」――カフカ

希望と絶望の「間の本」があってもいいのではないかと思いました。
ゲーテが希望を語り、カフカが絶望を語り、読者の皆さんが それぞれに心に響く言葉を見つけ出すことができる、そんな本が。

希望名人ゲーテと絶望名人カフカの対話」より

他の著書ではこんなお言葉も。

絶望読書 (河出文庫)

絶望をすすめる本ではありません。

絶望からの立ち直り方について書いた本でもありません。
立ち直りの段階の前の「絶望の期間」の過ごし方について書いた本です。

人は、絶望したとき、なるべく早く立ち直ろうとします。
周囲もなるべく早く立ち直らせようとします。

とはいえ、日常的な軽い絶望でも、一晩は寝込んだりするでしょう。
周囲の人たちも、「今日はそっとしておいてやろう」と、励ましの言葉をかけるのさえひかえるでしょう。

一晩ですまず、何日か、かかることもあります。
さらに何週間もかかることもありますし、何ヶ月もかかることもあります。
ときには、何年ということも。

絶望した瞬間から立ち直りが始まるわけではなく、絶望したままの期間というのがあります。

この「絶望の期間」をどう過ごすかが、じつはとても大切なのです。

――『絶望読書』より

人やその時の状況によって、ハッピーに!ポジティ
ブに!前向きな言葉に勇気づけられる場合もあれば、
ネガティブな言葉に浄化される場合もあり、、

それはどちらが良い悪いという話ではなく、その
時々の状況に合ったものを自由に選んで良いんですよね。

以前の記事で『トカトントン』や『変身』の作品に
触れた太宰治やカフカは、生前とても苦しかったか
もしれませんが、、

こうして現在に押しつぶされそうな気持ちや出口が
見えない苦悩を言葉に残してくれたことに、心から
感謝しています。



文豪たちの悪口本

実際に同じクラスだったら友達になれなさそう
(してもらえなさそう)ですが。。。(笑)

変身(新潮文庫)


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